地域経済報告「さくらレポート」公表
日本銀行は7月8日、同日開催の支店長会議に向けて収集された情報をもとに、支店等地域経済担当部署からの報告を集約した、地域経済報告「さくらレポート」(2019年7月)を公表した。
それによると、各地域の景気の総括判断は、全ての地域で「拡大」または「回復」としている。この背景としては、輸出・生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの、企業・家計両部門において、所得から支出への前向きな循環が働くもとで、国内需要の増加基調が続いていることを挙げている。
住宅投資については「弱めの動きとなっている」(北海道)、「増加している」(北陸)「横ばい圏内で推移している」(関東甲信越)、「持ち直し傾向にある」(東海、近畿、中国)、「横ばい圏内の動き」(四国)、「低金利環境等を背景に、高水準で推移している」(九州・沖縄)と、多様な動きを見せている。
一方、賃貸住宅関連の投資については、各地域特有の動向を次の通りまとめている。
「金融機関のアパートローンの審査が厳しくなっている。借入可能額が想定を下回ったことから、建設計画を鉄筋コンクリート造から低コストの木造に変更した事例が散見される」(函館)、「貸家については、サブリース契約が社会問題化した昨年夏以降、顧客の投資姿勢や金融機関の貸出しスタンスが慎重化している。このため、進行中の商談はわずかであり先行きも低調に推移する見込み」(甲府)。
「賃貸住宅の需要は引き続き強い。地域によっては賃貸住宅の用地が限られてきたが、好立地では老朽化物件の建て替えを中心に今後も着工の増加が見込まれる」(名古屋)、「相続税の節税対応や資産運用手段としての需要が一巡したことから、貸家の着工は弱めの動きを続けている」(大阪、京都)。
「貸家は、消費増税前の駆け込み需要で一時的に増加した。もっとも、既往の供給過多や金融機関の融資スタンスの慎重化を背景に全体として需要は低調である」(岡山、広島)、「開業予定の新駅周辺への人口流入を見越した賃貸物件の着工や、老朽化物件の建て替え等の需要が引き続きみられている」(高松)、「貸家の着工は、建築費の高騰等による不動産利回りの低下等を背景に弱含んで推移している」(鹿児島、福岡、那覇)。
(一般社団法人 全国賃貸不動産管理業協会2019/07/16メルマガ参照)